素材や工法にこだわった新築一戸建・注文住宅の情報サイト
この頁は、静岡文化芸術大学院教授で建築家の・川口宗敏先生のシリーズコラムです。
県主催の建築賞の審査やご自身も実際に関わった住宅設計などを通して、
住宅の施工例や、海外の新しい情報も交えて、こだわりの家づくりを目指すみなさまに、
家づくりの知識や新鮮なアイディアを提案します。
『空間設計・スキップフロアの豊かさ』
平成15年度静岡県住まいの文化賞・優秀賞「Alice in ATAMI Wonderland」
「アリスインアタミ・ワンダーランド」は、
川口教授と奥様で川口建築都市設計事務所の川口良子代表の合作住宅です。
受賞作品に対する講評
四季、雨の日、晴れの日、訪れて敷地を選び、設計事務所も設計案を比較した上で選んだという念の入れよう。インテリアを特徴付けている家具や建築金物からバスタブにいたるまで、ほどんどを住まい博(静岡県の総合住宅展)で調達したという。家事を楽しく分担する男女共同参画と、一匹の大型犬と三匹のネコとの同居をテーマに、住まい手の思いがいっぱいつまった、それに設計者と施工者が精一杯応えて出来上がった、光と風と風景がふんだんに取り入れられた明るくてコンパクトだが広がりのある住まい。
施主の河村さんご夫婦はこう語っています。
アリスが扉を開けるとそこは不思議の国。玄関を開けるとまるで不思議の国のアリスの世界にはまりこんだような感覚に陥ります。市松模様のエントランスから続く、幾何学模様の扉、扉のガラスをのぞくとエッシャーのだまし絵を思わせるような上に続く赤い階段と下に下りる赤い階段。そして階段の先には、緑のじゅうたんと空の青が広がっています。現実と非現実が交錯する世界を表現したいという要望に建築家と施主が長い時間取り組んでやっと完成しました。実際、暮らしてみると仕事をしている現実の時間と、家に帰ってきて食事をしながら熱海の夜景を眺め、時に花火が上がっている風景を見ながら夫婦の時間を過ごすゆったりとした2つの時間を1日の中に持つことができるようになりました。窓の風景で今まで見過ごしていた四季の移り変わりが敏感に感じられ、充実した生活を楽しんでいます。設計から建築、完成まで近くの家は続々出来上がっていく中で、ゆっくりと時間を掛け、建築家夫婦と施主夫婦が必ず4人で打ち合わせを行い4人でコンセプトがまとまるまで話し合いました。夫婦共働きでどちらかに家事負担がかかってしまうということはしたくないという気持ちから、2人で楽しみながら家事ができる工夫をすまいの中に取り入れました。おかげで、家事負担はフィフティフィフティとなり、目指していた主婦からシェフというコンセプトが体現されています。週末は、趣味の陶芸やガーデニング、家庭菜園、2人でエントランスを作ったりとゆったりとした生活を楽しんでいます。
この住宅の設計者でもある川口教授は
限られた面積の傾斜地という
マイナスをいかにプラスに
転じるかに想い悩んだ結果、
見事な空間を創出しました。
熱海・河村邸
■概要
■設計
川口宗敏・川口良子
■構造
延べ114.34m2
■完成年
平成15年3月
■種別
専用住宅
■規模
重量鉄骨2階建
■施工
大同工業(株)
Alice in ATAMI Wonderland”の魅力と個性
テーマ
主婦からシェフへ〈男女共同参画のすまい〉
コンセプト
■
主婦がしてきた家事を2人のシェフ(主夫、主婦)が楽しく分担するしかけ
■
家事負担を軽減することにより余裕のできた時間を
家族とすごすゆとりの時間を楽しむ空間の創出
■
コンパクトだが光、風、風景をふんだんにとりいれ広がりのある空間を創出
特 徴
主婦がしてきた家事を2人のシェフ
(主夫、主婦)が楽しく分担するしかけ
時代の流れの中で、共働き夫婦が増えてきている。女性の社会進出も目ざましく住まいも男女共同参画の流れを取り入れたものを行う必要が出てきている。主婦が家事をするという文化からシェフ(主夫と主婦)が2人で家事を行い、できたゆとりを家族で楽しむというすまいにおける文化の創出を目指した。
●
DINKS(夫婦共働き)というライフスタイルを体現した設計。
前部屋フローリング仕上げにし、掃除をしやすくした
収納を小分けにせず、広いクローゼットを作り、収納を集約化。更衣やストックは開放的に収納し、どこになにがあるのかわかりやすくした。
システムキッチンは蛇口を2つ、広い作業スペースを設けることにより、夫婦二人で料理を楽しめるよう配慮。食器洗い乾燥機や電磁調理器の導入により掃除や片付けをしやすくした。
家事労働を軽減するため、設計の段階から家電選びも建築家が参加し、 選択した家電の設置場所なども考慮した設計。
(ドラム式洗濯機、食器洗乾燥機、冷蔵庫など)
コンパクトだが光、風、風景をふんだんにとりいれ
広がりのある空間を創出
●
窓と窓が対になり風通しをよくし、どの方向の部屋も必ず光が差し込む。
特に寝室は、朝日が入るよう高窓を設置。
●
手すりや、間仕切りなどにポイントで強化ガラスを利用し、
視線の広がりに配慮。
●
熱海特有の傾斜地を利用して各段に表情をつけた(スキップフロア)
●
窓の位置を、四季の自然が織り成すパフォーマンス
(桜の開花、花火、海など)が一幅の絵のようになるよう借景を利用
他にもこんなことにも配慮しました!
●
熱海は地震被害が大きいと想定されているため、あらかじめ20mのボーリング調査を実施。1mごと20m分の地質標本を作製し、構造を検討。地震に強い構造にするため岩盤まで杭打ちを行い基礎を強固にし安全に配慮
●
防犯のため、窓や扉に振動すると反応するセンサーと室内に異常があると知らせる赤外線センサーを取り付け、火事が心配されるキッチンには煙感知器をセットし安全な暮らしに配慮
●
猫のとおるドア、犬の部屋などペットと一緒に暮らすための工夫
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